元ヤン介護士の知佳のブログ

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官能小説『筒抜け』 第2話

益荒男様 作

官能小説『筒抜け』

この小説はShyrock様のご許可を頂き掲載しています。

自慰行為「お隣の安藤です。」
「ああ。」
 女が弘信の顔を思い出したようで、幾分表情を和らげた。
「ちょっとお話したいことがあるんですが。」
「こんな時間にですか。」
 女がもう一度きつい目で弘信を睨んだ。
「いえ、今でなくても構いません。よろしければ明日の午前中に半日休みを取りますので、いかがですか。」
 休みまで取ると言う弘信の言葉に女がちょっと考えてから頷いた。
「結構です。明日、お宅に伺いましょうか。」
「ええ。息子さんが学校に行かれたらいらして下さい。」
 息子さんと言われて女が表情を硬くした。
「お嬢さんもいらっしゃらない方がいいかも知れませんわね。」
 女にそう言い返されて今度は弘信が表情を曇らせた。女は弘信が何を言いたいのか察しているように思われたのである。
 翌日、約束通り弘信は午後からの出社を会社に連絡して女が来るのを待った。美佳が学校に出て暫くすると玄関のチャイムが鳴った。
「失礼します。」
「どうぞ、お入り下さい。」
 女が改めて田中晴美だと名乗った。弘信がお茶を出し、用件を切り出そうとすると晴美が機先を制した。
「お風呂場の、ダクトのことですわね。」
「知ってたんですか。」
 弘信が驚いて晴美の顔を見詰めた。
「ええ、気になったので調べたんです。管理人さんに頼んでここの設計図見せて貰ったら、お風呂場のダクトは二軒ずつ一組になってましたわ。お風呂場の声が筒抜けになるのはうちとお宅の間だけだったので、ちょっと安心しましたけど。他にも聞こえてたら大変だわ。」
「え、うちなら構わないんですか。」
「だって、お互い様でしょ。」
「はあ、」
 弘信が当惑した顔で晴美を見た。
「もう、とぼけるのはお止めになったら。」
 晴美の意図を察しかねた弘信は二の句が継げなかった。
「元々うちがあんなことになったのはお宅のせいよ。」
「どう言う意味ですか。」
 その言葉に晴美は気を悪くしたらしい。
「何だか話しても無駄のようね。」
 晴美が席を立とうとした。
「待って下さい。貴女の仰ることが分からないんです、本当に。」
「もう、おとぼけもいい加減にして頂戴。貴方がお嬢さんとイチャイチャしてる声聞いて、息子があんなことしたのよ。」
「私と娘が。言い掛かりは止めて下さい。」
「私が嘘言ってると仰るの。お話になりませんわ。パパ、パパって、それはそれは凄かったのよ。」
「娘が、ですか。」
「貴方のことをパパって呼ぶ人、他にいるのかしら。」
「うちの風呂場でパパって呼ぶのは美佳以外にいないでしょうね。」
「ほら、そうでしょ。そこ、そことか、もっと奥までとか、聞いてる私たちが赤面するようなことなさってたくせに。」
「本当ですが、美佳がそう言ってたんですね。」
 突然、晴美がハッとした顔になった。
「まさか、お嬢さん、美佳ちゃんの一人芝居、と言うか、貴方のこと思い浮かべてオナニーしてただけ、なんてことがあるかしら。」
「どうもそのようですね。少なくとも私には全く心当たりがありません。」
「やだ、どうしよう。そんなことって。」
 晴美の狼狽え振りは哀れな程だった。
「その時のことを聞かせて下さい。まず、最初に聞いたのはいつですか。」
「先月ですわ。日曜で私が休みの日だから、二十五日の晩だったと思います。」
「時間は何時頃。」
「夜の八時過ぎだったと思うわ。」
「先月の二十五日ですね。私が家に戻って来たのは夜中の一時過ぎでした。正確に言えば翌日二十六日の午前一時です。土日で実家に戻ってたから、間違いありません。」
「嘘、だって美佳ちゃんがパパ、パパって言ってたわ。」
「それで、困ったことになったんですね。」
「最初に気が付いたのは俊樹だったんです。あ、息子です。ママ、ちょっと来てって風呂場に呼ばれたら美佳ちゃんの声が聞こえて。二人で息を殺して聞いてたら、俊樹が私の身体を触り始めて、抵抗したんだけど、お宅に筒抜けだと思うと声出せなくて、パジャマ姿で下には何も着てなかったし、脱がされて、とうとう入れられちゃったの。ハッキリ言ってお宅を恨んだわ。俊樹だってあんな声聞かなかったら、私としようなんて思わなかったと思うし。」
 一部始終を聞いた弘信が溜息を突いた。
「いけないのはうちの美佳ですね。申し訳けないです。」
「いいえ、俊樹にされちゃったのは私の責任です。兎に角、一度美佳ちゃんの声を確かめて下さい。それで全てがハッキリします。来週、俊樹が修学旅行で一週間留守にしますから、その時うちに来て下さい。美佳ちゃんには内緒でね。こっちで私たちがじゃれ合ってるように聞かせたら、きっと美佳ちゃんの方も何かすると思います。」
「じゃあ、いつもお互いに聞きながらだったんですか。」
「恥ずかしい話、そうなの。だから、昨日話があるって言われて、そろそろお互いにハッキリさせた方がいいかなって思いましたの。」
「何だかとんでも無い話になって来ましたね。」
「困ったのはうちの方よ。俊樹はもう夢中で、後戻りは出来そうもないし。」
「私は誰にも言わないから安心して下さい。」
「ありがとう。残るは美佳ちゃんね。」
「来週、美佳の様子を見てから今後のことを考えましょう。」
 晴美を部屋から送り出した弘信がその後ろ姿をジッと見詰めた。三十代半ばだろうか。顔立ちは元より体の線も全く崩れていない。ツンと盛り上がった尻のラインが肉感的だった。これなら実の息子がその気になっても不思議は無いな、と弘信が思った。



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