元ヤン介護士の知佳のブログ

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人間の業 ― 綺麗事の裏側 第16話:連鎖する渇き(Reprint) 知佳 作

知佳

「人妻・熟女の不倫実話と創作官能小説 | 知佳の美貌録」より転載


カチリ、と鍵を回すなり、桂子(けいこ)は玄関で靴を脱ぎ捨てて冷蔵庫へと直行した。
仕事から帰って最初にすること。それがもう、3年以上も続いている彼女のルーティンだった。


「ただの一杯だけ」


缶ビールを開ける鋭い音が、静まり返ったアパートに響く。
桂子、31歳。福岡県みやま市在住。営業職。そして、3人の子どもを育てるシングルマザー。
長男の健太(8歳)、長女の美咲(5歳)、次男の悠真(2歳)。
子どもたちの父親は、3人とも全員違う。最初の夫とは価値観の違いで離婚し、2番目の男には浮気されて破局。3番目の男にいたっては「子どもができたなら別れよう」と言い捨てて、桂子の元を去っていった。


桂子は冷えたビールを一気に半分ほど飲み干し、深くため息をついた。
張り詰めていた肩の力が、ようやく抜けていく。
この一杯がないと、日々の家事も育児も、まるで重い鉄の塊を背負って泥沼を歩くような苦行に思えてしまうのだ。


ふと、脳裏に母・佳乃(よしの)のしゃがれた声が蘇る。
『お前みたいな女はさ、男に依存しないと生きていけないタイプなんだよ』


佳乃は、桂子が物心ついた頃には既に離婚したバツイチの母だった。男にかまけて育児放棄を繰り返す、典型的な母親。桂子には、父親の記憶がほとんどない。ただ、色褪せた写真に写っていた、少し太った優しい笑顔の男の顔だけが、ぼんやりと記憶の底に残っている。


母は離婚後、すぐに新しい男を家に連れ込むようになった。夜になると、リビングからは下品な笑い声とツンとする酒の匂いが部屋中に満ちた。
朝になり、桂子が「お腹すいた、おにぎり作って」と起こしに行っても、佳乃は二日酔いで布団から顔すら出さず、「勝手にコンビニで買ってきなさい」と財布を放り投げるだけ。弟や妹が泣き叫んでいても、「うるさい!」と怒鳴り散らすだけだった。



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