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官能小説『蛇の毒』 第5章 キャンプの夜(1)

益荒男様 作

官能小説『蛇の毒』

この小説はShyrock様のご許可を頂き掲載しています。

女の指先は巧みだった 「やあねえ、その話し。」
 聞き終わった靖子が眉をしかめた。
 「何か、凄く汚らしいって感じ。」
 「うん。僕もそう思った。セックスって、もっとムードがあってきれいなものだっ
て想像してたんだけど、あのことがあってから、ちょっと女見る目が変わっちゃった
なあ。」
 「馬鹿、一緒にしないでよ。私は栄治とこうしてるの楽しいし、きれいだと思って
るわよ。」
 「僕も。そうそう、初めての時、弘子さんの顔見てると元気が出なかったじゃない。
その時目をつぶったらなぜか姉さんの顔が浮かんで来たんだ。」
 「やだ、私のこと思い出したの。」
 「うん、そうしたらすぐに気持ちよくなってきた。」
 「怒っていいんだか喜んでいいんだか。ところで、栄治の経験って、それ一度きり
なの。」
 「ううん。弘子さんとはそれっきりだったけど。」
 「全部聞かせてよ。」
 「え、ま、いっか。ここまで話したんだもんね。」


 高校生になった栄治には暫くガールフレンドが出来なかった。弘子との初体験以来、
簡単に付き合うような気持ちになれなかったからである。変に勿体付ける女は好きに
なれない。かと言って、弘子のように、まるで雌豚のように貪欲に求められても閉口
してしまう。
電車の中で出会った女がその傾向に拍車を掛けた。
 栄治は高校まで電車で通学している。朝の時間帯はラッシュのピークでいつもすし
詰め状態だった。こう言う混んだ電車の中には結構痴 漢が多い。実際にそれらしい雰
囲気に出会うこともしばしばだった。
 そんなある日、栄治の前に三十前後の女が乗り合わせてきた。それ程混んでいない
のに栄治の前に来てピッタリと体を寄せてくる。右手に鞄を持った栄治は左手で手摺
りに掴まっていた。
 電車が少し混んできたとき、栄治は下半身に違和感を感じた。前の女が無理矢理体
の間に手を差し込んで来たのである。混んでるんだからじっとしてればいいのに、そ
う思った瞬間、栄治はきつく前を握られて思わず目を剥いた。それは偶然等ではない。
意識的に栄治に触って来たのである。手は自由にならないし、体の向きも変えられな
い。声を出すのもどうかと思われたので栄治は黙って触らせていた。女はそれを栄治
が喜んでいると勘違いしたらしい。またモソモソ手が動いて今度はジッパーを下ろさ
れてしまった。下着の上から探っていた指が前の合わせ目から入ってきた。
 栄治がため息をついた。不本意とは言っても女の手で直に握られれば嫌でもそこが
反応してしまう。女の指先は巧みだった。毎朝こうやって男に触っているんだろうか。
栄治は何故かその女と弘子の姿を重ね合わせていた。
 指の動きが激しくなってきた。まだ終点には間がある。だんだん栄治は落ち着かな
い気分になって来た。このままではズボンの中を汚してしまいそうなのである。もし
そうなると辺りに凄い匂いが立ちこめてしまう。あの匂いは隠しようがない。栄治の
額から脂汗が滲み出てきた。
 「大丈夫よ。」
 女が微かな声で栄治の耳元で囁いた。
 「心配しないで。」
 栄治の目の前が真っ暗になった。我慢もとうとう限界に達したのである。女の手が
強く栄治を握りしめた。最初の一撃が激しく吹き出した。もう駄目、そう思った栄治
だが、不思議と何も匂って来なかった。
 「うふふ。」
 間もなく終点と言うところで女が手を抜き、元通りにジッパーが引き上げられた。
人混みに押されてホームに降りた栄治がトイレを見付けて急いで駆け込んだ。
 下着を下ろした栄治が驚いた。いつの間にかゴムが被せられていたのである。先の
方は白く膨らんでいるが、表には全然漏れていない。気付かぬうちに女がゴムを被せ
てくれたらしい。ゆっくり剥がすようにそれを取るとむせ返るような匂いがトイレに
充満した。後始末に困った栄治はそれをトイレットペーパーでくるんで流した。こん
なものを流してはいけないのだが、他に方法が見当たらなかったのである。
 この出来事は栄治をますます女から遠ざける結果になった。電車の女は体付きも顔
立ちも決して悪くない。もし街で出会ったとしたら、到底そんなことをするようには
見えないであろう。
 そんな栄治に声を掛けてきたのが三年生の麻紀子だった。
 「ねえ、君。クラブは何やってるの。」
 「僕ですか。今のところは何も。」
 「だったら、ワンゲルに入らない。男の部員がやめちゃって困ってるの。」
 「ワンゲルって何ですか。」
 「ワンダー・フォーゲル。本格的な登山って訳じゃないんだけど、山を歩いて楽し
むことよ。部員数が減っちゃって、このままだと同好会に格下げになっちゃうの。」
 栄治は元々山を歩いたり、渓流でイワナを釣ったりするのが好きだった。
 「山は嫌いじゃないからいいですけど、男子部員がいないんですか。」
 女ばかりと言うのがちょっと引っ掛かった。
 「そうなの。三年生が私の他に三人。二年生が十人。一年生は君を入れても七人。
これでやっと二十人確保なんだ。ね、入って。」
 「え、ええ。ちょっと考えてからじゃ駄目ですか。」
 「明日部員名簿出さなきゃいけないの。元々うちは幽霊部員の常習犯だからチェッ
クが厳しいのよ。ね、入るわね。」
 「ええ、じゃあ取り敢えず。」
 麻紀子は感じが姉の靖子に似ていた。男の子のように短く刈り上げた髪。体付きは
やや細身でしなやかと言う表現がピッタリくる。クリッとした目に愛嬌があり、どち
らかと言えば童顔で上級生という威圧感は殆どなかった。
 「じゃあ、これから部室に来て。」
 強引に手を引かれた栄治が『ワンダーフォーゲル部』と書かれた部屋に連れて行か
れた。
 「みんな、ちょっと来て。こちら、新入部員の柿沢君。ええと、名前の方は何だっ
け。」
 「あ、栄治。柿沢栄治です。」
 ちょうど居合わせた女の子が五、六人寄ってきて一斉に拍手した。
 「すぐには憶えられないだろうけど、菊池さん、吉田さん、城島さん、青木さん、
佐藤さん。菊池さん以外はみんな二年生。私と菊池さんが三年なの。」
 「よろしくお願いします。」
 栄治が頭を下げた。
 「柿沢君って、部長の彼氏じゃないですよね。」
 城島と紹介された女の子が聞いた。どうやら麻紀子が部長らしい。
 「違うわよ。さっきスカウトして来たばかりなんだから。」
 「ってことは、よーいドンだ。」
 別の女の子がそう言って舌なめずりする。
 「ちょっとあんた達、そんなんだから男子部員が居着かないのよ。節度を持って行
動してね。キャンプもあることだし。」
 「はーい。」
 栄治はキャンプと聞いて体を固くした。泊まり掛けの山行もあるのだ。そう言う
ときは女の子に囲まれて過ごすことになる。本来なら男子部員が大勢いても不思議な
い筈なのに。栄治はちょっと不安になった。
 「今日は挨拶だけで。そうだ、城島さん、明日提出する名簿に柿沢君の名前書いと
いてね。」
 「はい、分かりました。それじゃ柿沢君、これに生年月日と、住所書いて下さい。
クラスも。」
 「はい、分かりました。」
 「ところで、今度の土曜は誰が行けるの。」
 誰も返事しない。
 「何だ、みんな都合悪いのか。城島さん、残りの人にも予定聞いておいて。ところ
で柿沢君、今度の土日、予定ある。」
 「土曜は授業があるでしょう。」
 「その後の話し。」
 「だったら大丈夫ですけど。」
 「日曜は。」
 「そっちも暇です。」
 「よし、じゃあ決まり。後で予定渡すから。」
 「何ですか。」
 「定例の岩登り訓練なの。と言ってもそんなに危険なところじゃないから心配しな
いで。専門にロッククライミングしようって訳じゃないから。」
 「岩登りって、何級位。」
 「二級位よ。」
 「ああ、それなら。」
 栄治がホッと胸を撫で下ろした。
 「四級なんて言われたらどうしようかと思った。」
 「まさか、ワンゲルじゃそこまでやらないわよ。でも、岩の経験あるのね。」
 「一応、越沢とか三つ峠には通ってます。」
 越沢は奥多摩にある岩登りのゲレンデ、つまり練習場で結構有名なところである。
三つ峠も岩登りの大会が行われたりする有名なゲレンデの一つだ。
 「凄ーい。もしかしてコーチやって貰えるかも。」
 「いえ、自己流ですから。」
 そんな訳で栄治はあっと言う間に部員にされてしまった。
 「柿沢君、寝袋とかは持ってる。」
 麻紀子が部員が解散するのを待って聞いてきた。
 「ええ。スリーシーズン用と、厳冬期のもあります。」
 「今はスリーシーズンで十分ね。山靴は勿論だろうし、雨具は。」
 「一式あります。」
 「じゃあ、土曜日、一式持ってきて。予定は一泊だから。食料はこっちで用意する
わ。」
 「テントは。」
 「まだ人数が確定じゃないから分からないけど、クラブの使うことになると思うわ。」
 「分かりました。ザイルとかは。」
 「ハーネス持ってるわよね。」
 ハーネスとはベルトで体を固定する道具でそれにザイルを結んで万一の落下に備え
たり、懸垂下降に使用する道具のことである。
 「フルハーネス持ってます。」
 「ザイルは何ミリ。」
 「十二ミリと、補助の九ミリがありますが。」
 「じゃあ、補助の方持ってきて。四十メートルよね。」
 「ええ。」
 土曜日、栄治は山道具一式をザックに詰め、着替えと登山靴を紙袋に入れて登校し
た。放課後部室に行くと麻紀子は既に駅に行ってしまったらしい。他の部員から集合
場所と時間を書いた紙を貰い、余分な荷物はロッカーに入れて学校を後にする。駅に
着くと麻紀子がホームの端で手を振っていた。
 「遅いぞ。」
 「すいません。四時間目が終わったところで担任に捕まっちゃって。ところで他の
人達は。」
 「今日は全部で四人の予定だったんだけど、上原さんが用事で駄目になっちゃって、
残るは飯塚さん。もうすぐ来ると思うわ。」
 すぐに始発の特急が入ってきた。今回の予定は甲斐駒ヶ岳の麓で、以前に国体の岩
登り競技でも使われたところらしい。自由席に乗り込んでザックは通路に置く。昼間
の時間帯なのでそれ程混んではいなかった。麻紀子が弁当とお茶を二つずつ買ってく
る。間もなく発車のベルが鳴り始めた。
 「飯塚さんって人、間に合うかな。」
 「いいわよ。来なかったら置いてくだけだから。」
 麻紀子が平然と言い放ったので栄治が首を傾げた。もしかしたら最初から二人だけ
だったのかも知れない。ベルが鳴り終わり、特急がゆっくりと動き出した。
 「柿沢君、今までにどこ登ったことがあるの。」
 「ええと、中学の時に槍ヶ岳と白馬に登りました。富士山も九合五勺まで登ったけ
ど突風が吹いてきて諦めました。」
 「富士山の突風って、いつ登ったの。」
 「去年の十二月です。」
 「ええ、十二月って言ったら冬山もいいとこじゃない。」
 「はい。知り合いが山岳会の冬山訓練に出てみないかって誘ってくれたので。」
 「冬山もやるの。」
 「ちょっとだけ。福島の吾妻とか、栂池スキー場から白馬乗鞍あたりとか行きまし
た。」
 「何かうちのクラブで一番のキャリアみたいね。」
 栄治は麻紀子と二人だけのキャンプというのがちょっと気になっていたが、麻紀子
には弘子のようなギラギラしたものが感じられないので少しは気が楽だった。落ち着
いて観察すると麻紀子は結構可愛い。話すときにジッと目を見つめられると胸が熱く
なって来た。
 (こんな人と二人だったら、キャンプも楽しいだろうなあ。)
 話が途切れると麻紀子が指相撲しようと言い出した。握りしめた麻紀子の手は柔ら
かく、その感触に夢中になっているうちに栄治は立て続けに三回負けてしまった。
 「駄目ねえ、もっと本気出してよ。」
 並んで座ったまま横を向くので膝と膝が擦れ合う。その感触も栄治を夢中にさせた。
今度は栄治が三番続けて勝った。
 「よし、決勝戦よ。」
 栄治は麻紀子のことが好きになり始めていた。
 小淵沢の駅に着き、タクシーに上の様子を聞く。林道は去年の台風で荒れているら
しいが、途中までは行けると言うことだった。
 「じゃあ、行けるところまでお願いします。」
 夕方近くの登山なので運転手がバックミラーで後ろを窺いながら声を掛けてきた。
 「今晩はキャンプですか。」
 「ええ。その積もりです。」
 「焚き火には気を付けて下さいね。場所にもよるけど、確かキャンプは禁止だった
はずだから。」
 「日向山の更に奥まで行きますから、その辺なら大丈夫でしょう。」
 「ああ、その辺なら大丈夫かも知れないけれど、明るいうちに行き着けるかな。」
 「今三時過ぎだから、五時までには何とか着けるでしょう。それより、帰りの予約
出来ますか。」
 「いいですよ。明日ですね。」
 「ええ。四時くらいに今日、これから降ろして貰うところで。」
 「迎車料金掛かりますけど。」
 「いいです。それでお願いします。」
 結局車は岩登り会場の本部が置かれた広場まで何とか上がることが出来た。麻紀子
がタクシー代を払って車から降りた。
 「さて、ここじゃ落ち着かないから水のあるところ探そう。」
 「はい。こっちに矢印があります。」
 尾白川まで下った二人が適当なテント場を探し始めた。なかなかいい場所が見付か
らなかったが、ようやく小さな砂地を見付けた。テント一張りなら何とかなりそうだ
った。ちょっと川に近いが、幸い雨の心配は無い。
 麻紀子がザックからテントを取り出した。見ると二人用の小さなものだ。テントの
何人用と言うのはギリギリ何人寝られるかと言う基準で二人用に二人で寝ると殆どく
っついて寝ることになる。栄治がシュラフを取り出すと麻紀子が自分のものと見比べ
た。
 「あら、同じやつじゃない。これ、つなげると思うよ。」
 麻紀子が自分の寝袋も取り出してジッパーを交互にはめてみる。麻紀子の言うとお
り一つの大きな寝袋が出来上がった。
 「これでよしっと。」
 栄治は知らん顔していたが、麻紀子の態度にドキドキしていた。寝袋がつなげるこ
とは分かったが、これでよし、と言うところを見ると今晩は二人一緒に寝る積もりら
しい。


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山の中のいいシチュエーションなんですよ!何度も撮影してます。皆さんの地域でいい場所あったら教えてね!( ^^)これは特別画像、、、おばさんの、あ そ こ (笑)
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